
国立がん研究センターによると2020年に新たにがんと診断された人は2019年と比べて全国で6万人減りました。
これは、コロナ禍で、健診や受診を控える人が増えた影響とされ、今後がんの発見が遅れ進行した状態で見つかる人が増えることが懸念されています。
日本対がん協会も昨年は自治体のがん検診を受けた人が前年より30%減ったことや、全体的に検診で見つかる初期ガンの減少が目立つことなども報告されています。
本市でも、昨年はコロナによる検診控で、受診率が約2割減少しています。
これまで、市長の公約で、早期発見、早期治療の重要性を強調し毎年無料がん検診を実施してきましたが、来年度から1検診当たり500円の市民負担を課し、胃がん、子宮がん、乳がん検診を隔年実施にしようとしています。
これに反対する市民の声が多く寄せられ、前橋社会保障推進協議会が署名にも取り組んでいます。実施すれば、コロナ禍での検診控えに加え、市民の検診の機会がさらに奪われかねません。それは、がんの発見を遅らせ、重症化リスクを上げ、本市の医療費負担を増やすことにつながります。「コロナ禍の下で、来年度からの有料化と隔年実施は撤回すべき」と質問しました。
健康部長は「市の財政負担が大きく市民が負担できる範囲でお願いする。有料化の市民周知は行ってきた。」となどと答えました。
胃がんの初期では自覚症状はなく進行してから見つかるものも少なくありません。症状のない人に対する検査は保険適用されず全額自己負担で胃がん、乳がん、子宮がん検査でそれぞれ1万円前後の費用がかかり。毎年受けたくても、負担が重くのしかかります。
また、有料化により、生活に困窮した人の検診の機会が奪われ検診格差が広がることです。困窮者にとっては1500円から2500円の負担もためらう人もいます。生活保護世帯は健診が無料ですが、困窮する世帯に対し、引き続き検診費用の無料を継続すべきです。
前橋市はがん検診無料化前の平成23年度と比べ検診受診者数は、令和元年度に4万4,000人増え、率にすると3割増加しましたが、有料化でこれを維持するのは難しくなるのではないでしょうか。欧米主要国のがん死亡率が減少傾向にあるのに対し日本は年々増加しています、それは欧米諸国に比べ検診率が最低の水準だからです。施策の後退は市民の理解を得ることはできません。